理事長の英語のお勉強

音楽家として、また法人としての国際コミュニケーションのために

仮定法なんて怖くない!

「もし今日が晴れていたら、犬の散歩をしたのになあ。」

と言ったとします。この場合、実際は雨が降っていて犬の散歩にはいけないので、「晴れていたら」というのは「現実とは違う」話です。こういったとき、英語では《動詞の形を変えて》、その発言が「現実とは違う」ことを明確に表そうとします。そのために使われるのが仮定法です。


女の子の発言を英文に訳すと、

If it was sunny today, I would take my dog for a walk.

 



時制で距離を作ることで、心理的な距離(現実性)を表現する

それでは具体的な仮定法の解説に移っていきましょう。まずは仮定法の基本的なルールをしっかりと自分の中に落とし込んでみてください。
【仮定法の基本ルール】
現在の事実に反する仮想→過去形で表す(仮定法過去)
過去の事実に反する仮想→過去完了形で表す(仮定法過去完了)
2. 「もしもボックス」で感じる仮定法
「もしもお金があったら…」

If I had money, I could buy the latest iPhone.
「もしもお金があったら、最新のiPhoneを買えるのに」
→実際はお金を持っていないので買えない(仮定法過去)

If I had had money, I could have bought the latest iPhone.
「もしもお金を持っていたなら、最新のiPhoneを買えたのに」
→実際はお金を持っていなかったので買えなかった(仮定法過去完了)


「もしも英語が話せたら…」

I wish I could speak English.
「英語が話せたらいいのになあ」
→実際は英語が話せない(仮定法過去)

I wish I could have spoken English then.
「あのとき、英語が話せていたらなあ」
→実際は英語を話せなかった(仮定法過去完了)

「もしも晴れたら…」

If it were fine today, they would play baseball.
「もしも今日晴れたら、彼らは野球をするだろう」
→実際は晴れていないのでしない(仮定法過去)

If it had been fine yesterday, they would have played baseball.
「もしも昨日晴れていたら、彼らは野球をしただろう」
→実際は晴れていなかったのでしなかった(仮定法過去完了)

 

これまで仮定法過去と仮定法過去完了を中心に解説してきましたが、もちろん未来に起こりそうもないことを想定する仮定法未来もあります。本来、まだ見ぬ未来には事実が存在しませんが、たとえ未来のことでも、例えば台風が接近中で明日は間違いなく天候不良が予想される場合のように、かなりの高確率で未来のことを予測できる場合があります。そのような場合に「(万が一)もしも晴れたら」とありそうもない未来を仮定する場合に使う仮定法未来のパターンをいくつか紹介します。

If it were to be fine tomorrow, they would play baseball.
「もしも明日晴れるなら、彼らは野球をするだろう」
→晴れる可能性は極めて低い(仮定法未来)

「If+主語+were to+動詞の原形」を使って「もしも〜」を表します。帰結説の助動詞部分には、would, could, mightが用いられます。

If it should be fine tomorrow, they would play baseball.
「万一、明日晴れるなら、彼らは野球をするだろう」
→晴れる可能性は極めて低い(仮定法未来)

shouldを使って「If+主語+should+動詞の原形, 主語+would(could / should / might)+動詞の原形」の形で未来の仮定法を表すこともできます(助動詞部分には、原形will can, shall, mayが用いられる場合もあり)。またifを省略し主語とshouldを入れ替えた形でもよく使われ、この形はTOEICでも頻出の文法表現です。

 

 

「時制をずらして距離を作り、現実から離れていることを表現する」

これだけです。今回紹介したのは仮定法の基礎的な部分ですが、これを日常のコミュニケーションの中で使えれば大きな武器となることでしょう。ぜひ読み聞きだけでなく、「話す・書く」でも仮定法をどんどん使ってみてください。